♬ぼぉや~、良い子だねんねしな~、今も昔も変わりなく、母のめぐみの子守唄、遠い昔の物語
むかぁし、むかし、駿河の國に、たすくという男が住んでたそうなぁ~。たすくは、街道を走るのが趣味だったが、雨やら風やらなんとか言い訳をして練習をさぼっておった。
ある晴れた風の強い日。たすくは風が強いので、いったんは家でのんびりすることにしたが、来月は岩城の國での韋駄天競争大会もあり、愛犬の説得により走ることにしたそうな。しかし、このたすく、悪知恵だけは働くらしく、強い西風を味方にして、ひたすら東へ走り始めたんじゃ。
元追分から江尻宿へ
清見寺の前を通り過ぎ、
うなぎやなのか、洋品店なのか、はたまた両方扱っているかよくわからない商店を過ぎ、
海岸沿いに出ると、ものすごい風じゃった。
追い風なので、ただ足を動かしているだけで、どんどん前に進む。あっという間に、由比宿。
由比本陣じゃ。
銘酒「正雪」の神沢川酒造。たすくは、「ここでいっぺえ飲みてえな」などと言いながら、通り過ぎた。
しばらく行くと、こんどは(久保田利伸オススメの)蒲原館。のれんも風に吹かれておった。たすくは、「ここでチャーシューメン食いてえな」などと言いながら、通り過ぎた。
蒲原宿を過ぎ、
新富士川橋まで来れば、もうすぐ目的の富士駅じゃ。富士山も見守っておった。
そんなこんなで、たすくは富士駅に到着したそうな。駅に着くと、たすくは駅前に出て何やらキョロキョロしておるぞ。こりゃ、いっぺえ飲む魂胆じゃ。しかし、まだ午後2時半、駅のまわりには、やっている飲み屋もなく、たすくは駅の売店で買ったブラックサンダー(32文)を頬張って、肩を落として電車に乗って帰っていった。
ある晴れた風の強い日。こうしてたすくはなんとか30キロ走をこなしたんだとさ。おしまい。
この物語はフィクションです。登場する人物は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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