「喪失と再生」


満開の桜。


昨夜の大雨で散ってしまっただろうか。

でも、散った後の桜には青々とした葉が茂り、春を通り越して、少し先の夏の訪れさえ予感させる。


人体の話。


赤血球は4ヶ月、皮膚は1ヶ月、白血球は3~5日で寿命を迎え、新しい細胞に入れ替わる。


『方丈記』の話。


鎌倉時代に鴨長明が看破したように、


「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」


伊勢神宮の話。


20年に一度、式年遷宮と称してあえて古くなった内宮・外宮の正殿、14の別宮の全ての社殿を造り替えて神座を遷す。


エントロピーの話。


シュレーディンガーは、生物が生きるための手段として環境から「負エントロピー」を絶えず摂取していると説く。生物が生存することによって生じるエントロピーを負エントロピーによって相殺することで、エントロピーの水準を一定に保持している。



大切にしていたものを失うことは、時に僕たちの感情に強い痛みを与える。それは、いつ捕獲されるかわからない危険な世界に暮らす生物には、安定を求める気持ちが根源に備わっているからだ。だた、失うことは絶対悪ではない。万物は一見今まで変わらないように見えても、~川の流れのように~中身は絶えず入れ替わっていて、「喪失」とはその入れ替わりのほんの一部に過ぎない。


「喪失と再生」という概念。


雨に散って地面に落ちているだろう桜の花びら。「喪失と再生」という概念を、今こそ上手に思い馳せるべき時なのかもしれない。失われたものは、新しく生まれるもののために失われていく。僕たちは、失ったものを嘆き続けるだけではなく、勇気をもって新しいものを再生していく使命を与えられているのだ。


昨日の雨はもうすっかり止んで、爽やかな朝を今日は迎えている。


特に何があったというわけではありませんが、なんとなく。

静岡走ろう会

1975年発足の静岡のランニングクラブ。 現「静岡マラソン」の前身となる「駿府マラソン」を立ち上げた歴史あるクラブです。 現在の会員数144名。月2回の練習会に加え、年数回マイクロバスをチャーターしてマラソンツアーを実施しています。 新規会員、募集中。まずは一度、体験参加してみませんか?

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